第 4 話 頭 上 の 悪 魔
脚本:桶谷 顕 演出:日高 政光
絵コンテ:西森 章 作画監督:杉浦 幸次
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オペレーターA 「現在高度9500を飛行中。風速ゼロコンマ5から6」
ノリス 「周回、敵、おらず!」
ギニアス 「随伴機、警戒を怠るな」
ノリス 「は!」
オペレーターA 「フライトプログラム、チェック!」
アイナ 「メインコンピューター、接続します」
オペレーターB 「ジャイロシステム作動。トリムコントロール、ON!」
アイナ 「発電システム、RGA。各コントロール、作動させます」
ギニアス 「プラズマシリンダー圧力はどうだ?」
アイナ 「3%弱低いため、限界圧力ギリギリですが、何とかやってみます!」
ギニアス 「ん」
オペレーターB 「これより、ワイヤーを切り離す。準備はいいか!」
アイナ 「…いつでもどうぞ」
オペレーターA 「切り離し…5秒前…4…3…2…1…TAKE OFF!」
  「9000…8500…8000…7500…7000!」
  「6500…6000!」
研究所員たち 「おお…!」
オペレーターB 「ミノフスキー粒子コンプレッサー、正常!」
オペレーターA 「プラズマ推進力、コンマ0で予測計測値とほぼ合致!」
オペレーターB 「ジャイロシステムのずれもほとんどありません!」
アイナ (思ったより振動が小さいわ…)
  「加速します!」
  「これが…お兄様の夢…」

 

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ロブ 「おい、見ろよ! 死神がいそしんでるぜ」
マイク 「おぉ〜、カレンもかわいそうに。こんな疫病神押しつけられちまってよぉ」
ロブ 「まったく同情するぜ」
ミケル 「何を言ってるんです? あの人たち」
マイク 「何人仲間を殺せば気が済むんだか」
ロブ 「新米の隊長さんも、死にに来たようなもんだぜ」
サンダース 「…ぐ!」
ミケル 「か! ぐ、軍曹ぉ〜」
ロブ 「それじゃ、浮かばれないってもんだよなぁ…うおぉっ?!」
ミケル 「軍曹!」
マイク 「このヤロー!」
ロブ 「やってくれたな、死神ー!」
ミケル 「た、大変だぁ!」

 

 ミケル 「隊長、隊長ぉ! まいったなぁ、もぅ〜。隊長、どこです〜?」
シロー 「ぁん?」

 

連邦兵A 「死神が喧嘩だと?」
連邦兵B 「誰だ、相手は?」
連邦兵C 「7小隊の連中だぜ」
サンダース 「ふん!」
マイク 「うっ!」
ジダン 「お後はいねぇか! 早くしねぇと終わっちまうぜぇ!」

 

シロー 「どこだ、喧嘩は?!」
ミケル 「10時の方向、約380メートル!」
  「でも、今まで軍曹がいた部隊で、ホントに全員死んでるんですか?」
シロー 「誰がそんなつまらん事を言った!」
ミケル 「ぎゅわあぁっ! あぁ〜!」

 

マイク 「へへ、死神なら死神らしく眠ってるんだなぁ!」
サンダース 「ぐぉっ!」
シロー 「と、通してくれ! 通せってば!」
サンダース 「ぐぉっ! ぐおぉっ!」
シロー 「さ、3人がかりだとぉ?! キタネェぞ、お前ら!」
ロブ 「?!」
シロー 「ちえぇぇぃっ!」
  「さぁ! あ?!」
コジマ 「何をじゃれ合っとるんだ、お前ら?」
シロー 「は! レクリエーションであります!」
ロブ 「小隊同士の交流を深めておりましたぁ!」
コジマ 「交流だと? このクソ暑い中でか? …ま、いい」
  「7小隊! 先発した西部エリアへの後方支援はどうした!」
ロブ 「は! ただ今より!」
コジマ 「あぁ。8小隊もいつでも出動できるようにな!」
シロー 「は!」
コジマ 「各自! 解散!」
シローたち 「は!」
コジマ 「お前たちも持ち場に戻るんだ!」
連邦兵たち 「あ〜ぁ」
ジダン 「水入り様様。へっへっへっへっ」
ロブ 「ま、せいぜい死神にとりつかれないようになぁ! 新入りさんよぉ!」
サンダース 「ぬぅぅっ!」
シロー 「つまらん中傷だ。気にするな。」
サンダース 「…は…」
シロー 「行くぞ」
サンダース 「…」
  「…!」
カレン 「…フン!」

 

ギニアス 「今やアプサラス計画の第一段階は、諸君らの力を得て見事に終了した」
  「アプサラス完成の日は近い。完成の暁には、地球圏の勢力図は大きく塗り替えられ、勝利は必ず我らがジオンの下へ輝くであろう!」
  「高貴あるジオンのために!」
将校たち 「ジーク・ジオン! ジーク・ジオン! ジーク・ジオン! ジーク・ジオン!」

 

ギニアス 「フッ…だからこそデギン公は、このプロジェクトを私に一任してくださったのだ」
出席者たち 「おぉ…!」
ギニアス 「おぉ、アイナ…。今宵は一段と美しい」
アイナ 「お兄様…」
ギニアス 「本日の初飛行、大儀であったな」
アイナ 「驚嘆の一語に尽きました。ただ、空調の調子が今ひとつ…。汗をかきました。でも…飲み物が美味しくいただけるのは、嬉しいことですわ」
ギニアス 「フッ…ご苦労だったな、今夜は楽しむがいい」
ユーリ 「ギニアス!」
ギニアス 「?!」
ユーリ 「ギニアスはどこだ?!」
アイナ 「ユーリ・ケラーネ将軍…!」
ユーリ 「どぉけ、どけぇ! 道をあけろぉ!」
  「おぉ、ギニアス! 久しぶりだな!」
ギニアス 「…人前だぞ、よさないか」
ユーリ 「なに、構うもんか。へへへへへっ!」
  「お前が高価なオモチャを造ってると聞いて、ヨーロッパから駆けつけてきた」
ギニアス 「オモチャだと?!」
ユーリ 「…!」
  「おぉぉ、アイナか! ひゃはは、こりゃぁ驚きだ。あのアイナがこんなレディに」
  「この前会った時はまだほんの子供だったのに、女とは恐ろしいもんだぜ」
アイナ 「…ケラーネ様もご立派になられて」
ユーリ 「おいおい、そんな他人行儀はよしてくれ。オレとお前の間柄じゃないか」
  「アイナ、どうだ?」
アイナ 「ぁっ!」
ユーリ 「オレの女にならんか?」
アイナ 「えぇ?!」
ユーリ 「サハリンの名にこだわるあいつに付き合わんでも、一生面白おかしく暮らせるぞ」
アイナ 「…ご冗談を。ここは空気が悪いようです。私、ちょっと外へ出てきます」
ノリス 「失礼します」
ユーリ 「ヘッ! なかなかガードが堅ぇな。えぁ!」
ギニアス 「…」
ユーリ 「…へ、面白みのねぇ兄妹だぜ」

 

アイナ 「今は大事な時というのに、あの方がいると、いつもお兄様のリズムが狂ってしまう!」
  「私がお兄様だったら、殴っているところだわ」
ノリス 「アイナ様。アイナ様は何故ここに来られたのです?」
アイナ 「兄の夢のため…と言ったら可笑しいかしら?」
ノリス 「いえ…」
アイナ 「お兄様のアプサラスが完成すれば、この戦火は鎮まります」
  「でも、あれは多くの人命を奪う兵器には違いないのでは…?」
ノリス 「サハリン家のためです。私の存在は、これからもサハリン家と共にあります」
アイナ 「ありがとう、ノリス」
  「誇りや名誉、血筋…サハリン家のあたし…まるで人形のよう」
ノリス 「アイナ様…」

 

シロー 「なんだ? サンダース」
サンダース 「自分は、モビルスーツを降りたく…転属を希望します」
シロー 「なんだって?!」
サンダース 「エレドア、お前が代わってくれ」
エレドア 「な…何言ってるんです! ぉ、オレぁ駄目だよ…」
ミケル 「ぁ、あぁ、じゃあボクが乗りましょうか?」
シロー 「どういうことだ?」
サンダース 「パイロットとして、自分は出られません。みんなを死なせる訳にはいかないんです!」
カレン 「こいつ!」
サンダース 「ぐぉっ!」
シロー 「カレン!」
カレン 「まだそんなこと言っているのか?! お前のいた部隊が全部潰れたのは確かだろうさ。でも、それを7小隊のヤツらにからかわれて怒ってたんじゃ、自分で死神だって認めてるってことだろ!」
サンダース 「…だ、だからオレは」
カレン 「降りりゃコトは済むってのかい?! この根性なしがっ!」
サンダース 「うぅぉぉ…! ぅ…ぁ…」
カレン 「フッ、一応ついてたのかい」
シロー 「おい、カレン!」
カレン 「お前のような意気地なしとチームを組むのは、こっちから願い下げだ!」
シロー 「もういい!」
「いい加減にしろ、曹長」
カレン 「しかし…」
サンダース 「ぃゃ、い、いいんです…。自分の所属していた部隊は、ことごとく3度目の出撃で全滅しました。自分だけを残して…」
ミケル 「…3度目のジンクス…」
サンダース 「8小隊にオレがいると、みんな死ぬことになるんだ…。だから、オレは降りたいんだ!」
カレン 「自分のせいで仲間が死んだなんて思うのは、自惚れだって言うんだよ! お前、何様のつもりだ! そこんとこ、わかってんのかい?」
サンダース 「…く…!」
カレン 「ケッ…フン!」
シロー 「今は行動中だ。サンダース、お前の転属は認めることはできない。持ち場に戻れ!」
サンダース 「しかし!」
シロー 「これは命令だ!」
サンダース 「は…」
シロー 「心配するな。そんなつまらん思い込みなんか、オレたちで吹き飛ばしてやる」

 

エレドア 「あ〜ぁ。不味いレーションが余計まずく感じるぜ」
ミケル 「ねぇ、隊長。明日も、戦闘なきゃいいですね…」
シロー 「…」
「ったく、生き延びるんなら、信じあわなきゃ」
ミケル 「は?」
シロー 「信頼だよ…」

 

アイキャッチ

 

アイナ 「…ぁぁ!」
オペレーターA 「警告アラーム!」
ギニアス 「わかっておる」
オペレーターB 「限界かもしれません。テレメーターにも異常が!」
ギニアス 「そんなはずはない! 各部隊に伝達して、防衛ラインを派手に動かせ! アプサラスのルートを確保するんだ!」
  「ノリス、機体の状況を知らせよ」
ノリス 「は。今のところ、形状に特に変化はありません」
ギニアス 「よし。引き続き、荷重率を試す」
アイナ 「はい」
ノリス 「アイナ様。無理をなさらずに!」
アイナ 「わかっています」

 

シロー 「ったく! ヤツらの目的はなんなんだよ!」
  「サンダース! 今から、エリア376へ移動する!」
  「聞こえてるか! トップはオレが取る! ついて来い!」
サンダース 「…は…」
エレドア 「嫌な感じだぜ!」
  「何やってんだよ、お前は?」
ミケル 「遺言でもと…」
エレドア 「ケッ! こいてろ」

 

アイナ 「再度機体に激しい振動! 現在、高度4000! 荷重、大きすぎます! 姿勢制御不能、急速降下中!」
ギニアス 「制御コンピューターに高度打ちこめ」
ノリス 「連邦の勢力圏内に入ります。警戒を!」
アイナ 「…高度、上がりません!」
ギニアス 「お前ならできるはず。なんとか降下を食い止めるのだ」
アイナ 「はい」
ノリス 「ミノフスキー粒子散布! 後方より、基地との連絡を取ります」
アイナ 「頼みます」

 

ギニアス 「北東部防衛ラインは押し上げているか!」
オペレーターA 「は! 一斉に撹乱攻撃を始めています」
ユーリ 「おい、ギニアス。いい加減、アイナを脱出させたらどうだ?」
ギニアス 「アプサラスを放棄するわけにはいかん。アイナならできるはずだ」
ノリス 「こちらは随伴機! ギリギリのところで、降下を食い止めることに成功したようです」
ギニアス 「よくやったぞ、アイナ。予備部隊も出動させろ! アプサラスの飛行ルートから、連邦の目を離させるのだ!」
オペレーターB 「は!」
ユーリ 「やれやれ。インテリの自信過剰ってのは始末が悪いもんだぜ」
シンシア 「閣下」
ユーリ 「ん?」
オペレーターA 「姿勢コントロール、ほぼ平常に回復!」
オペレーターB 「発電システム、異常加熱!」
オペレーターC 「冷却材を注入して─」
ユーリ 「オレもそろそろヨーロッパ戦線に戻らなければならない。あいつを使えるようになったら、こっちに回してくれ」
ギニアス 「お前などのために、造っておるわけではない!」
ユーリ 「わかってるよ、天才クン!」
ギニアス 「フン!」

 

シロー 「エレドア! 敵の位置を特定できるか!」
エレドア 「11時の方向、約2000! 現在カレンが追い込んでます!」
カレン 「?! どういうことだ…」
  「隊長! 敵が引いていきます」
サンダース 「?!」
カレン 「まるで誘ってるように…」
シロー 「変だ…何かおかしいぞ…」
エレドア 「な?! なんだ、コレは…」
ミケル 「どうしました?」
エレドア 「静かに!」
カレン 「隊長、どうします? 追い込みますか?」
シロー 「いや、待て! 何かあるぞ…」
エレドア 「隊長! これを聞いてください」
傍受通信 「ガー…東側25キロに展開中…ガ・・ピー・・了解…まも・・く・・ア・・サラ・・ガ…ガガ・・ジャングル地帯に進出…ガ・ピー・・速やかにアプサラスの進路を確保せよ…ガ・・ガ・ピー・・」
シロー 「これは?!」
エレドア 「ミノフスキー粒子に邪魔されてよく聞こえませんが、敵の何かがこっちに向かってるようです!」
シロー 「うーん…」
エレドア 「でも、何故暗号じゃないんでしょう?」
シロー 「はっ! よーし、オレたちはここでそいつを待ち受ける。各員、体を低くしろ!」
カレン 「は!」

 

ミケル 「それ、本当にこっちに来るんですか?」
エレドア 「来てるんだよ!」
  「隊長、40秒後に当上空に到達!」
シロー 「わかった! やり過ごして様子を見る!」
ミケル 「もしかして、これが軍曹の…」
エレドア 「黙ってろ!」
サンダース 「…」
エレドア 「気圧振動感知!」
  「かなりデカイぞ…モビルスーツサイズどころじゃないぜ!」
サンダース 「ハァ…ハァ…」
エレドア 「戦闘機のエンジン音、複数!」
ミケル 「…ゴクッ!」
シロー 「来たぞ!」
  「やり過ごせ!」
  「?! 誰だ!」

 

ノリス 「射点を特定。これよりアプサラスの進路を確保する!」
パイロット 「了解!」

 

エレドア 「バカヤロー! 何故撃った?!」
ミケル 「ど、どうしましょう…」
シロー 「突っ込んでくるぞ! 散開しろ!」
カレン 「余計なことをして!」

 

カレン 「聞いてるか、軍曹! あたしは死なないよ! 見てるんだなぁ!」
シロー 「カレン! 何をする?!」
カレン 「てえぇぇぇぁぁっ!」
  「フッ、見たか、ぐ…ん?!」
シロー 「カレン!」
カレン 「ぐああああああぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!」
サンダース 「カレン!」
  「…はっ?!」
エレドア 「デ…デケェ…」
シロー 「なんだコイツは?!」
サンダース 「う、はぁぁ…」

 

カレン 「…う…」
サンダース 「くうぅ…!」
ノリス 「…!」
  「く…!」
シロー 「やったか?!」
アイナ 「ノリス?!」

 

ノリス 「申し訳ありません、アイナ様」
アイナ 「帰投できそうですか?」
ノリス 「自分は大丈夫です。アイナ様こそ、離脱してください!」
アイナ 「いえ、私が援護します! その間にあなたは離脱を!」
ノリス 「アイナ様…!」

 

サンダース 「来るなら、来てみろー!」

 

シロー 「くぅ! うっ…!」
カレン 「ぐ…う…!」
エレドア
ミケル
「うわぁ…・あああぁぁぁっ!」
サンダース 「化け物めぇい!」
  「死なせはせん! 誰一人とて、死なせはせんぞぉっ!」
  「どうだっ?!」
  「ぬおぉぁぁぁっっ!」
アイナ 「なんて無謀な!」
サンダース 「オレは…オレは、死神じゃあない!」
  「わあぁっ!」
  「ま、負けるか…負けるもんか…オレは、オレは負けんぞー!」
  「ぁ?!」
シロー 「撃てぇっ! 撃ち続けろっ! 銃身が焼けつくまで撃ち続けるんだぁ!」

 

アイナ 「う…くっ…!」
ノリス 「アイナ様! これ以上の接近は危険です! 速やかに離脱を!」
アイナ 「…えぇ!」

 

サンダース 「ハァ…ハァ…ハァ…」
シロー 「よくやったぞ、サンダース!」
カレン 「ッフッフッ、ワハハハハ、アーッハッハッハッハッハッ! あたしは生きているぞ、軍曹!」
サンダース 「…あぁ…生きてる…!」
ミケル 「た…助かったぁ…」
エレドア 「ま、なんとかな」
シロー 「もちろんだとも。ジンクスなんて、吹き飛ばせるんだ。信じあうことができればな・・」

 

予告[シロー] 「ジオンの新兵器の存在は、我が軍に衝撃を与えた。8小隊も、情報収集と捜索に明け暮れる毎日である。そんな中、エレドアとミケルが、ジオン側に捕らわれたという情報が入った! 2人とも無事でいてくれ! 必ず救出してやる! 次回、機動戦士ガンダム第08MS小隊【破られた待機命令】」

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