第 9 話 最 前 線
脚本:桶谷 顕 演出:仕舞屋 鉄
絵コンテ:飯田 馬之介 作画監督:佐久間 信一/横山 彰利
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連邦艦艦長 「後部銃座ぁ! なんとかムサイの頭を抑えろ!」
オペレーター 「3番艦、轟沈!」
連邦艦艦長 「主砲、前方に集中! ヤツを阻止!」
オペレーター 「速すぎます! ????使用不能!」
連邦艦艦長 「ぬうぅぅぅ…」

 

オペレーター 「敵モビルアーマー、第三次防衛ライン、突破! マッハ11から減速中。ジャブロー到達まで、あと9秒」

 

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連邦兵A 「ジャブローが…」
コジマ 「シミュレーション、終了!」
イーサン 「では、新型の目的は連邦本部の攻略にあると?」
連邦兵B 「はい。我々の掴んだ情報によると…」
コジマ 「うぅん…」
イーサン 「では、始めてくれたまえ」
コジマ 「はい」
  「敵基地の捜索、及び殲滅」
  「時計合わせ! 作戦開始!」

 

イーサン 「大気圏を突破してくる砲台…レビルの南極条約が裏目と出たか…」
コジマ 「…大佐。8小隊の処置は、あれでよろしかったのでしょうか?」
イーサン 「あの少尉か。敵パイロットと知り合いならば、その隙に乗じる事ができるかもしれん」
コジマ 「そんな理由で!」
イーサン 「大丈夫、保険はかけてあるよ。二重にね…」

 

シロー 「サンダース、聞いているのか?」
サンダース 「ぁ…はい」
シロー 「ポイントアルファに降下後、敵基地を捜索しながら、ポイントベータへ移動。迎えのミデアと合流し、帰投する」
  「なお、今回の作戦の目的は、敵基地の特定にある。情報を持ち帰るのが最優先だ。極力戦闘は回避する」
ミケル 「ってことは、彼女が出てきても、戦わなくていいんだ」
エレドア 「彼女ぉ?!」
シロー 「…」
エレドア 「隊長に?! ホント?」
  「…なんだよ、もー!」
「こちとら、野戦病院でこぉんな白衣の天使の相手ばっかりさせられてたってのに!」
  「ずるいぞ! この皮カムリ!」
シロー 「ふ…」
エレドア 「余裕こいてやがる…」
  「なぁ、カレン。オレたちも…」
カレン 「エレドア」
エレドア 「なんだい?」
カレン 「う・る・せ・え」
エレドア 「ぅ…」

 

エレドア 「なんだよ、カレン。冷たいじゃないのぉ!」
カレン 「パラシュート降下は初めてで、お前に構ってる暇はないんだよ」
エレドア 「えぇ〜?」
カレン 「寄るな、うっとうしい」
サンダース 「隊長」
  「…実は、自分は…」
パイロット 「降下地点まであと5分!」
シロー 「よし、出撃準備!」
ミケル 「了解」
エレドア 「しゃぁねぇ、行くか」
シロー 「サンダース、話はなんだ?」
サンダース 「…」
  「いえ…」
シロー 「? …そうか」

 

エレドア 「その彼女って、美人?」
ミケル 「知りませんよ」
パイロットA 「よぉ、スパイのあんちゃん」
「達者でな」
サンダース 「隊長はスパイじゃない! そんな器用な人間じゃないんだ!」
パイロットB 「無駄口叩いてるんじゃねえ!」
  「終点だぜ、棺桶に入んな」
サンダース 「く…!」
シロー 「サンダース、行こう」
サンダース 「…!」

 

パイロットA 「気密完了!」
カレン 「ノクトビジョン作動…シミュレーション通りやればいいんだ」
エレドア 「ジオンの女パイロットぉ?! なんてロマンチックな…悲恋だねぇ…」
サンダース 「隊長は…スパイなんかじゃない」
カレン 「…」

 

カレン 「…! なんてこった!」
  「隊長! ガウと不期遭遇戦に入りました!」
シロー 「カレン、無事か?!」
  「射出を急いで!」
パイロットB 「少し待て! 今出られたら、こっちが危ない!」
シロー 「くっ…急いでくれ!」
エレドア 「カレン! 止まるな、動け!」
  「カレン!」
ミケル 「…!」
カレン 「あんた…今逝く…」
  「…?!」

 

ボーン 「真上に機影! 照明弾、あげ!」
ジオン兵たち 「おおぉぉっ!」
  「おおおおぉぉぉぉっっ!」
ボーン 「うぉ…くそう…」
シロー 「今すぐ発砲をやめろ! さもなければ撃ち堕とす!」
ボーン 「…」
シロー 「このまま一緒に堕ちるか?!」
ボーン 「んん…」
オペレーター 「大エンジン、火を噴きました!」
ボーン 「消火、急げ!」
  「各銃座、撃ち方やめぃ!」

 

カレン 「射程外に出ました!」

 

オペレーター 「撃ちますか?」
ボーン 「やめておけ。修理が先だ」
  「…何故だ?」

 

ユーリ 「残りの連中はまだ着かねぇのか!」
ルネン 「あのガウは、片肺不調でしたから…」
ジオン兵 「ガウらしき機影を発見。予定のコースと違います!」
ユーリ 「連邦の機影は?」
ジオン兵 「ありません。しかし、煙を引いてます」
ユーリ 「防衛ラインの警戒を強めろ!」
  「ただのエンジン不調であってくれればいいが…」

 

カレン 「ううっ!」
  「130…120…110…噴射!」
  「…ぐっ! 着陸完了! …ハァ」
  「…綺麗だ…」
エレドア 「カレーン! 無事かー?!」
カレン 「はぁ〜…」
エレドア 「愛を語るにはバッチリのロケーションじゃないのぉ?」
カレン 「人がせっかく…。 ?!」
  「対岸? どこだ?」
  「水中から!」
  「…!」
エレドア 「カレェェンっ!!」
  「ぁぁ…」
  「…カレンが死んでたまるか!」
  「ミケル! ホバーで陽動をかけろ!」
ミケル 「一人じゃ機銃も撃てませんよ!」
エレドア 「オレのカレンが死んでもいいのかぁっ!」
ミケル 「そ…そんな…」
エレドア 「頼む、急げ!」
ミケル 「もおぉぉぉっ!」

 

ミケル 「ほああああぁぁぁぁっっ! ちああああぁぁぁっっ!」
  「うわああああぁぁぁっ!」

 

エレドア 「カレン! 怪我はないか?!」
  「返事をしろ!」
カレン 「エレドア…」
エレドア 「ホ…」
  「操縦はできるか? ミケルがやばい」
カレン 「でも、モニターもスコープも…」
エレドア 「時間がない、指示通りやれ」
  「オレが照準になる。ビームライフルを」
  「ちょい右、あげ! 行きすぎ、さげ! 止め!」
  「目が合った! 早く撃てぇ!」
  「右へ6度修正! …?!」
  「撃て、撃てぇーっ!」
カレン 「く…」

 

カレン 「エレドア? エレドア!」
  「エレドア!!」
エレドア 「ハァ…」
カレン 「怪我はないか?」
  「エレドア!」
エレドア 「少しチビっちまったけどな…曹長は?」
カレン 「…おかげでな。助かった」
エレドア 「お前に死なれちゃ、オレの人生プランが狂っちまう…」
カレン 「え?」

 

ミケル 「ええぇぇへええぇぇぇぇっっ!」

 

アイキャッチ

 

ボーン 「物資の大半と、兵員14名を失いました。申し訳ありません」
ユーリ 「いや…片肺不調のガウで作戦を強行した、オレのミスだ。すまなかった」
ボーン 「ありがとう…ございます」
ユーリ 「…よくやってくれた」
  「おぉし、トンズラだ! この煙は見逃さねぇだろ。いくら連邦がバカでもなぁ」
ジオン兵たち 「はっはっはっはっはっ」

 

ボーン 「司令!」
ユーリ 「?」
ボーン 「私にこいつをお貸しください」
ユーリ 「そのボロを?」
  「死ぬ気じゃねぇだろうな?」
ボーン 「本隊が撤退する時間稼ぎです」
  「連邦のカオツキには、借りもありますし」
ユーリ 「…生きて帰ると約束するなら」
ボーン 「必ず!」
ルネン 「自分、志願します!」
バリー 「自分も!」
ユーリ 「支援も補給も、保証はできんのだぞ?!」
ルネン 「承知しております!」
ボーン 「兵たちをお願いします!」
バリー 「宇宙へあげてやってくれ!」
ユーリ 「…お前たち…!」
  「よぉし、マゼラアタック隊、出撃!」
ボーン
バリー
ルネン
「は!」

 

エレドア 「そんなに怒るな、もう勘弁!」
ミケル 「ビームライフルのカメラに接続完了!」
カレン 「スコープに映像、来た!」
エレドア 「曲の印税が入ったら、オゴるからよぉ!」
シロー 「みんな、聞け! 作戦を変更する」
  「カレンとホバーは、合流地点へ直行。オレとサンダースは任務を続行する」
カレン 「戦闘になったら、心許ないねぇ」
シロー 「その時は構わん、全力で逃げろ!」
エレドア 「それって、作戦なのか?」
カレン 「了解! 最新鋭モビルスーツの全能力を使って、逃げまくります!」

 

軍医 「あぁ、使い立てして申し訳ない」
アイナ 「いえ、医薬品には心得がありますから」
軍医 「助かります」
負傷兵 「自分、手伝います」
アイナ 「大丈夫です、休んでいてください」
  「…ぅ」
負傷兵 「手伝います」
  「ぁ、ぁぁ…」
アイナ 「あぁ…ぁっ!」
負傷兵 「ぁ、ぁぁ…」
アイナ 「あぁ?!」
  「こ、こんな…薬を!」
軍医 「…はい」
アイナ 「仮にも医者がする事ですか!」
軍医 「アプサラスの完成のためには、やむを得ません」
アイナ 「…兄の命令ですね?」
軍医 「いえ、私の一存です。医者として、良心が痛みます…」
  「しかし、我々は、コロニー独立に賛同し、この戦争に参加した職業軍人であります」
  「アプサラスによって敵本部を叩く!」
  「それこそが、今軍人として為すべき事であると信じます」
アイナ (やめさせなければ…中止命令を無視してまで…)

 

オペレーター 「リックドムのジェネレーター流用は上手くいきそうです」
ギニアス 「当たり前だ。フェーズ7・8・9をカット。作業急げ!」
ノリス 「ユーリ閣下が支援を求めていますが」
ギニアス 「支援? 基地の場所を知られる危険を侵して、か?」
ノリス 「しかし、同胞を見殺しにはできません!」
ギニアス 「ヤツも、自分の面倒ぐらい見られる」
ノリス 「ですが、オデッサからの苦難の道のりをやってきた兵たちの気持ちを考えると…」
ギニアス 「くだらんな。アプサラス完成に勝る責務などない」

 

ユーリ 「…!」
  「くそぅ、ギニアスめ! 友軍を見捨てやがった!」
  「なんとしてでも、こいつらを宇宙へあげてやる! 頼むぞ、マゼラアタック隊…」

 

サンダース 「…隊長」
シロー 「敵か?!」
サンダース 「…そんなようなものです」
  「隊長の監視を命じられました」
シロー 「え?!」
  「軍規違反ばっかりだったからなぁ…」
  「気にするな、サンダース」
サンダース 「はぁ…」
シロー 「コジマ大隊長の、考えそうなこった」
サンダース 「それが…ライアー大佐からの命令なのです」
シロー 「?!」
  「あの人が…」
  「審問会の疑いは晴れていない…」

 

ボーン 「地雷アクティブ!」

 

シロー 「連邦はオレを信用していない…」
サンダース 「2機の先に戦場痕! 金属反応、多数!」
シロー 「罠を張るには、恰好だな。森の中まで引こう!」
  「サンダース、引け!」

 

ボーン 「ヒートガン、ツノツキ! ってぇ!」
  「次弾ペネトレイター、ツノツキにとどめを刺す! ってぇ!」
サンダース 「引きます!」
シロー 「サンダース!」
サンダース 「ぬおおぉっ!」
  「うおおおおぉぉぉっっ!」
ボーン 「手を緩めるな! 各個にヒートガンを撃ちこめ!」
  「ロックオンされた! 引け!」
シロー 「くっ…! 光学センサーが!」

 

ボーン 「バリー、ルネン! A陣形!」
  (煙幕が晴れた時が勝負だ…心理戦を仕掛けさせてもらう)
  「連邦のモビルスーツ!」
シロー 「その声は! あの時の艦長!」
ボーン 「ボーン・アブストという」
  「お前に聞きたい! 何故あの時撃墜しなかった?!」
シロー 「なに?!」
ボーン 「兵たちに代わって、礼は言っておこう」
  「だが、納得できない! 我らジオン! 連邦に情けをかけられるいわれなどない!」
シロー 「オレはただ、無用な死人を…!」
ボーン 「そのビームでオレを殺すか?!」
シロー 「…!」
ボーン 「フッ…やはりな」

 

アイナ 「兵たちが疲弊しています。今すぐ開発を中止してください」
ギニアス 「フ…で、どうなる? お前がこの戦争を終わらせてくれる、とでも?」
アイナ 「そんなこと…」
  「しかし、開発中止命令は既に下っているはず。薬を使ってまでの強行など無意味です!」
ギニアス 「…感動的だが、我々は戦争をしているのだ」
  「アプサラスは必ず完成させる。命令は撤回させてみせるよ」

 

ユーリ 「急げ!」
ジオン兵 「司令も中へ!」
ユーリ 「バカを言うな! ヤツらが帰るまで、オレが入れるか!」

 

サンダース 「隊長!」
シロー 「無事か?!」
サンダース 「左足を、やられました。援護できません」
シロー 「出血は! ひどいのか?!」
サンダース 「いえ、モビルスーツのです」
シロー 「ぁ…」
  (大事な事を忘れていた…)
ボーン 「お前に撃てるか?」
シロー 「おうっ!」

 

ボーン 「全車、撃ちながら引け! ここまで来て、死に急ぐな! 時間は稼いだ」
バリー 「おぅ! 逃げるのなら任せとけ!」
ルネン 「オデッサからこっち、ずっとですからねぇ」
ボーン 「よぉし、決着をつけさせてもらおう」
シロー 「連邦のためじゃない…それでも、仲間のためなら戦える!」
ボーン 「今さらそれかよ! 胡散くせぇ!」
シロー 「ハァ…ハァ…ハァ…」
  「ぁ…」
  「ぁ…あっはっはっはっはっはっ、はっはっはっはっはっは…」

 

ユーリ 「ぉぉ…!」
ボーン 「ただ今、戻りました」
  「…負けっちまいましたがね」
ユーリ 「よく戻った、本当に…」

 

バリー 「本隊は?」
ユーリ 「おかげで全員、中へ入れた」
ルネン 「これで宇宙へ帰れるんですねぇ」
バリー 「デブには無重力が恋しいか?」
ルネン 「あ〜、ひっどいなぁ…」
バリー 「まぁ、怒るな」
ルネン 「へへっ…?」
バリー 「ぁ?」
ルネン 「なんだ?」
バリー 「どうしたんだ?」
ギニアス 「ユーリ・ケラーネ少将」
ユーリ 「開けろ! ギニアス!」

 

ギニアス 「事情は全て秘書官から聞きました」
ユーリ 「シンシアに何をした?!」
ギニアス 「中止命令はまだギレン閣下に届いていない」
  「貴殿が戦死なされれば、命令は永遠に本国に届かない…」
ユーリ 「引けっ! 坑道を、出ろぉーっ!」
ギニアス 「少将は、名誉の戦死を遂げられた…」
バリー
ルネン
「わあっ! うわあああぁぁぁっっ!」
ユーリ 「ルネン! バリー!」
ボーン 「うお! あ…あ!」
ユーリ 「ギニアァス!」

 

シロー 「?! なんだ?」

 

予告[シロー] 「敵基地を特定した連邦は、ついに総攻撃を開始する。オレたちの前に、突如現れた蒼いモビルスーツ。たった1機で、3機のガンダムを翻弄するヤツは、エースだ! 次々とやられていく仲間たち…。そして…オレは…死ぬのか?!」
予告[ノリス] 「…勝った!」
予告[シロー] 「次回、【震える山(前編)】」

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